ハンドメイドレザーレッスン
『.URUKUST』による使い心地のよいナチュラルテイストなデザインの革小物、バッグをつくる中で、レザークラフトを基礎から学びます。カリキュラム制で、1クール10回の講習(月2回×5ヵ月)、初級/中級合わせて20回で修了します。
受講日 | 第1・3土曜 |
時 間 | 初級9:00〜13:00 中級14:00〜18:00 |
月 謝 | 12,000円(税抜) |
材料費 | 小物4,100円〜 バッグ9,800円〜(税抜) |
年間諸経費 | 4,000円(税抜) |
土平恭栄先生インタビュー
■カリキュラムを組むにあたり、こだわった点
まず「革」です。自分で時間をかけてつくるのですから、つくったあともずっと大事につかえることを考えて教材をつくりました。長くつかえるモノをつくるなら、いい素材でつくったほうが絶対にいいと思います。
自分でバッグや洋服をつくる人は、できるだけ安い素材を探して「安くできた」というところを目的にしていらっしゃる人が結構いると思います。しかし私はせっかく時間をかけてつくるのに、素材が良くないのはすごくもったいないと思っています。自分でつくるならいい素材をつかうことをおすすめしています。
■長くつかえる高品質の革を使用
革は植物タンニンなめしとクロムなめしの2つに大別できます。そのうち、いわゆる長年つかううちに味が出るという革は、植物タンニンなめしの方です。講座でつかう革は、すべて植物タンニンなめしです。またバッグには.URUKUSTで展開している製品と同じ革で、オリジナルでタンナーさんにつくってもらっているものもあります。
今回選んだ植物タンニンなめしの革はオイルも適度に含まれているので、つかい込むうちにしっとりとした艶が出ます。また薄くしても一定のハリやコシ感が保てる点も、植物タンニンなめしの革ならではのよさです。
■アースカラーを中心にした色合い
革の味わいを楽しむのなら、まずはベーシックなカラーが良いと思い、茶系を選びました。私自身素朴な色が好きということもありますが、飽きも来ないし、ほかの持ち物や服装と合わせてつかいやすい色として、茶系で揃えました。ただし本講座でつくるいくつかのアイテムは、革の色をお選びいただけるようにしています。
■本講座のテーマ
手を動かしてレザークラフトをマスターすることはもちろんですが、この講座は「つくったあとにつかえるモノをつくる」というテーマも掲げました。
つかえるモノというのは、アイテムそのものに拠って立つのではなく「つかいたいデザインかどうか?」ということです。
私は中学生の頃にレザークラフトを始めました。当時は決められた図案があり、その通りのカタチにしかつくれませんでした。つくること自体は楽しかったのですが、つくったあとにつかえるモノが少なくて残念だった思い出があります。
そのような経験もあり、なるべくシンプルなデザインにして.URUKUSTのカラーを多少出しつつ、今のファッションの流れで普通に持てるモノとして提案しました。
■つかえるモノ、デザインはどのように考えていますか?
デザインを考えるとき、見た目がカッコイイかどうかというところからは入りません。結論を先に言うと「つかいやすいカタチ」と「つくりやすいカタチ」がまずあります。革小物やバッグをデザインするときは、そのもののカタチに加え、つくる工程でできるできないの制約が必ずあります。これはプロダクトデザイン的な考え方ですが、私は沢山の制約を理解した上でデザインしなければならないと考えています。単に見た目だけカッコイイデザイン画を描いても、良いモノは生まれないと思っています。
「つかうこと」と「つくること」の両立を考慮していけば、自ずといいカタチが生まれると考えています。見た目から入らないというのはそういう意味です。
私は柳宗理(やなぎ・そうり:プロダクトデザイナー/日本/1915-2011)に大きな影響を受けました。プロダクトデザインで「アノニマスデザイン」という考え方があります。無名の職人さんのつくったデザインは、機能だけを求めて無駄な装飾を一切入れていません。それは商業的なものと対極にある考え方です。モノのあるべき機能だけを追求した結果、機能美といわれる美しいものができるという考え方です。私自身まだまだファッション性を意識しているところがありますが、常にそこを目指したいと思っています。
おそらく「デザイナーはカッコイイデザイン画を描いている人」と漠然と考えていらっしゃる方が多いと思います。しかし私の場合はそうではなく、型紙とデザインを同時進行で地道に模索をしている感じです。
講座では当然生徒さんがつくるため、たとえばキーケースであれば革を「切る」練習をテーマにデザインを考えました。角にアールをつけて難しい切り出しを学べるようになっています。
その他のアイテムについても1つずつ技術的なテーマをデザインに盛り込んでいます。次第に難しくなりますが、技術を身につけていただけるカリキュラムを組んでいます。教材1点ごとにコンセプトと技術的な要点を盛り込んだ上で、つかってもいいなと思っていただけるカタチに仕上げたつもりです。
その他トートバッグに関しては、持ち手の取り付け方法がこだわりのポイントです。金具をつかわず、革本来の強さを活かして本体と持ち手をどのように接続するか、というテーマを自分に課しました。私はディテールから考えることが多いのですが、それを積み重ねていくうちに、全体としてのカタチ、フォルムができあがります。このように自ら制約をつくって面白いデザインができないかと考えることもあります。
■少人数制で丁寧に指導したい
人数が多いと、細かい点でのフォローがまったくできません。お教えするからにはしっかりと、技法以外のことも色々と吸収していっていただきたいです。モノをつくるだけでしたら多人数でもいいですが、講座では細かい技法や考え方などもお伝えしたいと思っています。
■型紙支給で、だれでも「.URUKUSTのデザイン」が楽しめる
私が設計した完全な型紙を支給しますので、どなたでも確実に完成まで辿り着き、つくったあとは.URUKUSTのデザインをお楽しみいただけます。もちろんある程度ご経験のある方は、自分なりのアレンジを加えてつくってくださってもいいと思います。しかし初めての方にとって、型紙をつくるのはとても難しいことなので、まずは私が考えたカタチを元にして「完成する喜び」から味わっていただきたいと考えています。
■教室を通して伝えたいこと
本講座は半年ずつ[初級][中級]として、各10回ずつ、全20回の講座で修了します。その間のカリキュラムを受講していただくことで、手縫いに関してはほとんど網羅できると思います。そしてお一人でも制作を続けていけるようになっていただきたいです。
ミシンに関しては、まずは体験していただくことを目的にしています。革用のミシンは、機材として気軽に買えるものではありません。革をミシンで縫うことを体験していただき、その結果できあがる作品を通し、手縫いとの違い、つかい分けることの必要性を感じていただくことが狙いです。ミシンは後期[中級]の最後に体験していただきます。ポーチとサッチェルバッグのレッスンでつかいます。
■メッセージ
つくることを楽しみたい方はもちろん、それだけではなくデザインをどのように考えるのか、といった点にご興味がある方にはいろいろお話できることがあると思います。遠慮なく聞いていただけたらとても嬉しいです。いろいろなお話をしつつ和気あいあいと、楽しく講座を進めていけたらと思います。