自然素材としての革の特徴
ここでは主に天然素材として革の表面に現れる特徴をご紹介します。
革は1枚ごとに、自然素材ならではの特徴があります。
SEIWAは以下に挙げた革の特徴が、主に牛革を中心とした取扱いの革に含まれることをここに明示します。特に顕著なものは入荷時に除外しますが、半裁など大きなサイズになるほどこれらの部位が含まれる場合があります。
これらは天然皮革の特徴とし、原則として返品・交換の対象にはなりません。ご承知おきください。
※「成牛タンロー」をはじめ、素上げで生成りの革ほど以下の特徴は目立ち、反対に顔料などで銀面を被って仕上げられた革は目立ちません。もちろん、人工皮革には以下の特徴はありません。
トラ
革の銀面(表側)に入るシワを「トラ」と呼びます。首周りの可動部、腹の部分など、生きていたときに皮膚が伸び、たるみが出やすい部位に現れます。自然の模様として、特に小物制作では風合いを活かすと雰囲気が出ます。
半裁1枚の中では、背中からお尻にかけては繊維が密で比較的トラが少なく、腹側にトラが現れます。
同じ革でもトラがあることで濃淡が異なって見えて、表情豊かな作品作りに活かせます。
血筋
革の銀面、床面(裏側の毛羽立ちのある方)の両方に現れる、白っぽいスジのことです。これは皮下近くを通っていた血管の跡で、細かく枝分かれしてつながっている様が分かります。
主に皮膚の薄い部分に見られ、銀面側ではシワのようにつながった細かなスジ模様で現れます。
傷(掻き傷、虫刺され)
左は傷が治癒した(塞がった)もの、右は引っかき傷により革表面が削れて溝のようになっています
引っかき傷、虫刺されが治癒した跡が銀面に残ることがあります。鉄条網のトゲに引っ掛けたり、体液(血液)などを求めてたかる虫による跡です。いずれも生きていたときの痕跡です。
スキ加工(うすく削ること)を施すと虫刺され跡は丸い穴のあくことがあります。治癒跡は強度的にほかより劣る場合があり、縫製・金具留め等の位置からは外してください。
活用の例として、サイフなどではパーツが重なる部分で見えない部分に使うなどです。
焼印(やけど跡)
家畜の所有者を示すために押されるホットスタンプのやけど治癒跡です。銀面の薄皮が剥がれたように荒れて見えるものが多く、形はアルファベット?や模様に見えるものなどがあります。サイズは約20cm四方程度です。
1頭に1ヵ所しかなく、ユニークな形のものは逆に貴重な部位として扱われることもあります。レザークラフトでは、デザイン的に表からよく見える部分に取り入れて制作する例もあります。
日焼け
経時変化の現れとして、巻いた革で外に露出していた部分に光があたり、色が変化することがあります。日光はもとより、蛍光灯の灯りでも長時間あたると変わります。別名「色焼け」ともいいます。
左の写真では、巻いて保管していた「成牛タンロー」の端の部分が色が濃くなるように変色しています。
※お使いになる前は、直射日光の当たらない風通しのよい場所で、なるべく外部に露出しないように保管してください。
※なお、端の部分ほど巻いたときに外部に露出しやすく、そのため色が変化することがあります。
変色
なめし加工時の薬品や機械の鉄粉等が表面に付着して、化学変化した跡と言われます。
また「成牛タンロー」など植物タンニンなめしの生成り革は、仕立て時の手の皮脂の付着でも黒ずんで変色することがあります。その場合は縫製前に「ピュアホースオイル」をうすく全面に塗っておくと変色、汚れ防止になります(ピュアホースオイルの塗布により、若干革の色が濃くなります)。
いずれの例も、革を「真っ白なキャンバス」と捉えると避けたいと考えがちです。しかしこれを「味や風合い」として捉え、上記の状態を上手く活用する形やデザインを考えてみるのも、レザークラフトの楽しみのひとつといえます。
これらを革の味わいとして上手く取り入れるか、ダメージとして避けるかは、制作時にご判断ください。
革漉き時に起きる厚みの差
革の原厚(元の厚み)が、指定の厚みより薄い部位があると、革漉きをしても床面を削れない部分が出てきます。半裁の下腹部などに見られ、床面の繊維が荒れて立ち上がり、トコノールで目潰しをしても締まりにくい場合があります。
銀面側がキレイで使えそうな場合は、厚みの違うところで切り分けて小物用のパーツとして使うとよいでしょう。
※漉きムラを極力減らすには、原厚より0.4mm〜0.5mm程度以上薄く漉くように指定するとよいでしょう(革の状態により端部分、腹部には一部残る場合あり)。
また一見して均一に漉いてあるように見えても、計測器で厚みを測ると0.1〜0.2mm程度の差が生じることがあります。これは部位ごとの繊維の緻密さや革のハリ・クセによるものです。一般的に繊維の密な部分ほど指定に忠実に、そうでない部分は繊維が緩いため若干の差が生じやすくなります。革に表記した厚さ、また漉きの指定をされていても、部位により0.1〜0.2mm程度差が生じることがありますのでご了承ください。
その他
成牛タンロー。シールは製造元により異なります。※画像は一部加工しています半裁革は革の端にその革のサイズを記したデシ数を示すシールが貼付されています。
※カット革の場合は端以外貼付されていません。
サイズは製造時に計測されたもので、実際に使える質のものに加え、上記に挙げた傷やトラも含まれます。また、まれに握りこぶし程度の大きな穴が空いている場合もございます。
穴あきの場合は、その分のサイズを引いたデシ数としたり「傷有り」「穴あり」と表記したりする例があります。現物をご確認頂ける場合は、穴空の有無をお確かめください。
またA、Bとランク分けしてお出ししている場合もございます。
ほか、革は原皮の状態、生産時期などにより、同一商品であってもロットごとに若干の色味の差が生じることがあります。
お問合せ先
SEIWA外商部 Tel. 03-3364-2112ご注意:
※革が濡れた状態で、衣服などと強い摩擦が生じると色落ち、色移りのおそれがありますので十分にご注意ください。詳細は上記までお問合せください。