教 え 方
■教え方
生徒さんとは皆20〜30年来のお付き合いの方が多いですから、私という人間がどういう人間かよくご存知なんですね(笑)。そして私が文様を提供しているので、制作はある程度一定の方向性をもったものになっていきます。皆さんよくご存知なので、質問という形で尋ねられることはあまりありませんが、制作を見て回る中で、私が感じたことや作業の勘所はお伝えするようにしています。
まず自分の頭で考えてどうしようか考えていただく姿勢が大事かなと考えているので、私から余計なことを言わないように心がけています。なるべく自由にしていただいて、自分らしさといった個性を発揮していただきたいですね。
私は昭和34年に大学の彫刻科を出ました。学生当時アルバイトで染色をやっていました。卒業してからは、木彫と染色を組み合わせた木版を活かす染色として、インド系の更紗が向いているかなと思い、取り組み始めました。文様の輪郭を印刷して染める手順なので、これを木版として取り入れたわけです。また個人で染色の実業を営んでいたこともありましたね。
■SEIWAとのつながり
SEIWAでも更紗の教室が必要と聞き、そこで依頼を受けたのが、SEIWAとのお付き合いのはじまりです。上達するまでは時間がかかりますが、上達して自分一人でも制作できるようになると、ますますおもしろくなっていきますよ。
■更紗の魅力とは?
更紗は根気のいる作業だと思います。友禅は複数の色を乗せることもありますが、基本的に一つの色で表現することが多いと思います。更紗は基本的に色を重ねて表現していきます。色の三原色というものがありまして、そこから混色を重ねることで色彩を作っていきます。三原色をもとに世界を表現するのが、インド更紗の特徴です。何度も色を重ねていくことで、染色の厚みを表現していくことが楽しみですね。
■メッセージ
今は手っ取り早く何かを作り、早くうまくなって成果を見出したり、結果を出したいというような時代ですね。更紗はその風潮とは逆行していますね。どちらがいいというわけではなく、今の風潮とはちょっと違うところに価値を感じていただけないと、取り組んでから投げ出してしまうこともあると思います。根気よく繰り返して、しつこく試して欲しいですね。手間をかけて一つのものを仕上げるということに喜びや満足を見出していただくことの価値を提案して行きたいですね。
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